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骨髄由来幹細胞点滴とは?
※資料提供:医療法人慶春会福永記念診療所
骨髄由来幹細胞点滴とは、自身の体内にある骨髄から骨髄液を採取し、その骨髄液の中にある幹細胞を培養して大量に幹細胞を増やし、点滴で体に戻る治療です。
今までは根本的な治療がない(困難)と言われていた病状に対して、損傷された細胞を修復させる、新たな細胞を体内に収着させ再構築させ、脳卒中の後遺症の改善を目指す治療です。
幹細胞治療の特徴
幹細胞とは?
幹細胞とは、自己を複製し続ける自己複製能と、体の様々な細胞に分化できる多分化能を持った特殊な細胞です。幹細胞は、その分化する能力により分化全能性、多能性細胞に分けられ、分化が進むにあたり分化する細胞種も絞られる。
骨髄由来幹細胞治療で使用する細胞は、間葉系幹細胞という細胞で骨芽細胞、脂肪細胞、筋細胞、軟骨細胞、また神経細胞や肝細胞にも分化する能力を持っている細胞である。
間葉系幹細胞は、骨髄や脂肪から採取でき、ES細胞やIPS細胞が抱えている課題やリスクが少なく利用しやすい細胞で、研究の歴史も長く臨床応用も盛んにおこなわれている。
Onda et al., J Cereb Blood Flow Metab 28:329-40, 2008;Ukai et al., J Neurotrauma 24:508-20, 2007; Toyama et al., Exp Neurol 216:47-55, 2009
骨髄由来と脂肪由来の違い
骨髄由来間葉系幹細胞 | 脂肪由来間葉系幹細胞 | |
---|---|---|
神経再生能 | ◎ | × |
神経細胞への分化 | ◎ | × |
幹細胞の含有率 | 0.001~0.01% | 0.5%~ |
増殖率(培養し易さ) | △ | ◎ |
骨・軟骨・血管への分化 | ◎ | ◎ |
神経サイトカイン効果 | ◎ | △ |
採取 | 経験が必要 | 容易 |
骨髄由来幹細胞点滴の期待できる効果
運動機能の改善
- 手足や体の感覚が徐々に回復する。
- 手足に力がはいるようになる。
- お箸を使用して、自力で食事がとれるようになる。
- 歩行不能状態から歩行器を使用しての歩行が可能となる
失語症・言語障害の改善
- 言葉や文字の理解が出来る。
- 発声が出来る。
- 読み書きが出来る。
- 意思の疎通が円滑になます。
感情や行動の改善
- 怒りっぽい性格が穏やかな性格に戻る。
- 衝動的な突然の動きや、行動が無くなる。
- 感情の起伏をコントロールできる。
視力障害の改善
- 視力が回復する。
- 景色がはっきりと見える。
- 見える範囲が広がる。
- 二重に見える事が無くなる。
- 視野欠損が解消される
痺れ・痛みの改善
- 肩こり、腰痛、頭痛、関節痛、筋肉の痛みの軽減。
- 脱力感の軽減。
骨髄由来幹細胞点滴の臨床研究
脳梗塞患者12名に対して自己骨髄性間葉系幹細胞の静脈投与を実施した結果、脳梗塞巣体積の減少がみられ、12人中7人でNIHSSスコア(脳卒中重症度スコア:高値は悪い)が改善。
幹細胞投与後も、出血、肺塞栓症、腫瘍化等の重篤な合併症は無く、有効性を確認。
また、脳梗塞発症から130日以後に幹細胞を投与したところ、脳梗塞巣体積が縮小し、NIHSSも8→0点へ改善しました。これにより幹細胞投与は慢性期であっても効果があると考えられ、また、自己骨髄性間葉系幹細胞の静脈投与により、脊髄損傷、脳梗塞、再発の予防、動脈硬化の改善、認知症・心不全・腎不全・肝不全・アンチエイジング等の効果が続々と明らかになっています。
Honmou et al., Brain 134:1790-1807, 2011
骨髄由来幹細胞点滴の治療の流れ
治療期間の目安:1クール(3回投与)4~5カ月間
通院回数:5回
検診・経過観察:治療終了後から6ヶ月後もしくは1年後
一般的な治療の流れ
問診
状態や、過去の検査データをもとに、治療適応の有無を判断。
医師が治療可能と判断した場合は、感染症検査のための採血。
点滴にかかる時間は、約1時間、点滴後30~1時間の様子観察
※幹細胞点滴3回の場合、点滴投与は約1ヶ月期間を空けて3回実施
なぜ3回投与なのか?
神経障害に対する幹細胞治療のメカニズムは、
主に①液性作用、②血管新生作用、③神経再生作用といった3つの相性の効果を期待され
①~③に合わせて長期におけるリハビリの併用が必要となります。
①液性作用(極めて早い)
②血管新生作用(数週~)
③神経再生作用(数週~数か月まで漸増)
骨髄由来幹細胞点滴の概要
治療法 | 骨髄由来幹細胞治療 |
---|---|
適応疾患 | 脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)後の後遺症 |
適応期間 | 亜急性期~慢性期 |
治療の対象者 | 脳卒中後、慢性期の方 |
治療に不向きな人 | 劇的な改善や、早期の改善を求める方 |
保険適用の有無 | 保険外診療 |
費用 | 350万~ |
治療期間 | 半年~1年 |
施術期間 | 1~2時間/回 |
通院頻度 | 1か月に1回程度 |
エビデンスレベル | 高 |
症例数 | 低 |
症例数 | 低 |
症例数 | 低 |
入院 | 不要 |
リスク・副作用 | ●局部麻酔によるリスク・副作用 痛み/アレルギーによるショック症状 ●骨髄穿刺によるリスク・副作用 皮下出血/皮下血腫/感染症/穿刺部の不快感 ●骨髄幹細胞投与によるリスク・副作用 肺血栓塞栓症/アレルギーによるショック症状/感染症/点滴刺入部の発赤/熱感 ●その他のリスク・副作用 新規治療のため未知のリスク・副作用の可能性あり |
既存治療への影響 | なし |
仕事や生活への影響 | なし |
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